本サイトについて

 ここでは、本サイトがどのような楽曲分析を可能にするか、それが既存の楽曲分析とどのように違うのかについて述べていきます。

 一般的なコード進行分析では、楽節を一単位としますが、本サイトでは和音と先行和音を一単位とします。その目的は、記述の正確性を担保すること、それによって記述の転用を可能にすることにあります。

 感情には突発的なものと累積的なものがあります。累積的な感情は生起要因の推定が困難であるのに対し、突発的な感情ではそれが容易です。記述対象を細かく絞り込むことによって、コードの進行に起因する感情に対しての記述を正確に行うことが可能になります。

 そして本サイトでは、そのようにして得られた記述を転用します。特定の楽曲で用いられている進行に対する記述は、同様の進行が用いられている他の楽曲でも用いられます。これによって、楽曲を超えて同一対象についてのやりとりをすることが可能になります。

 これはニッチな楽曲について記述したい場合に大きなメリットをもたらします。通常、楽曲についての記述に対する反応の量は楽曲のファンの数に依存します。ヒット曲に対する記述とニッチな楽曲に対する記述では、ヒット曲に対する記述の方が多くの反応を得られるということです。本サイトでは、システム上その差は生じません。そのため、楽曲の知名度とは無関係に記述に対しての反応を得ることができます。

 大量の楽曲を扱うことはウェブサイトでしか実現できません。更に、事情によっては扱えるのがヒット曲に限定されることもあります。既知の楽曲を分析に用いることができる状況は感覚的な理解と説明的な理解を結びつけることに役立ちます。

 そして、記述は掲示板型で表示されます。これは、複数の記述を参照することを可能にするための表示形式です。楽曲分析により得られる快は機械的に意味を付与する作業ではなく、意味を発見する体験にあります。提示される意味が複数あることでそれを実現することが可能になります。

 一般的なコード進行分析では、分析対象の楽曲と他の楽曲の類似点か相違点のみが記述の対象となります。本サイトでは、すべての進行に対する記述が参照できるため、他の楽曲との比較考量ではない形で楽曲について考察することができます。

 音楽は多要素で成り立っています。そのような複雑なものを複雑に記述することは敷居の高い行為ですし、単純に記述することは説得力に欠けます。本サイトは、複雑なものを単純に記述するシステムでありながら、多要素表示により、それを複雑に理解できるようにもなっています。